『孟子』目引き袖引きして人は嘲笑う

日本の社会は、宗教的な規律、つまりは神の規律や法といったもので動いてきた社会ではない。社会を律していたのは、お互いの人間関係であり、その基本となるのは「恥」という考え方だったと思う。 人から見て恥ずかしいことをしない。これが、倫理の基準であった。 みっともないことをすれば、周囲から目引き袖引きして嘲笑われたのである。» 続きを読む

『国語』やはり戦争は起こるのだろう

僕が子供の頃、大人たちは皆、戦争を経験していた。そういう大人たちから、戦争を賛美する話はほとんど聞いたことがなかった。天皇制についても、廃止すべきだという意見の方が多かった。 そんな中、誰から聞いたのか、何を読んだのかは忘れてしまったが、記憶に残っている言葉がある。それは、「後50年もしたら、日本はまた戦争をするだろう。戦争体験者がわずかになり、戦争を知らない政治家ばかりになれば、また戦争をするだろう」という言葉である。 そしてまさに、僕が子供の頃からすると50年になって、本当に戦争が起こりそうな雰囲気が濃厚である。人類の歴史は戦争の歴史である。人という種は、どうも争うことをやめることは出来ないの種なんだろう。その意味で、日本が絶対に戦争をしてはいけないとまでは、僕は考えていない。» 続きを読む

『戦国策』全員一致の恐ろしさ

『日本人とユダヤ人』(イザヤ・ベンダサン)によると、ユダヤでは全員が一致して賛成したことは、無効になるという。 出来うるだけ、皆が同じであろうとすることを求める日本人とは、随分と違うものである。 中国戦国時代の遊説家として有名な張儀と、荘子との交流で有名な恵施の逸話に、このようなものがある。» 続きを読む

『荘子』結果とプロセス

下男と下女が二人で羊の世話をしていた。ところが羊がいなくなってしまった。 下男に、何をしていたのかと問うと、一生懸命勉強していたと言う。 下女に、何をしていたのかと問うと、バクチをして遊んでいたと言う。» 続きを読む

『論語』不作為の悪

人は、本質的には、「悪」ではないと思う。 自ら積極的に悪を為す人は、数少ないであろう。 ただ、積極的に善を為すかといえば、そうでもない。» 続きを読む

『孟子』無名の指

無名の指とは、くすり指のことである。 孟子は言う。 くすり指が曲がって伸びないとする。決して痛い訳ではなく、不便な訳でもないとする。» 続きを読む

『荀子』闘うことの是非

過去を振り返って、最も反省することは、争うこと、喧嘩が好きだったということである。 好きだったという以上に、間違った相手とは闘うべきであり、それが正義と考えていた。 闘うこと自体が誤りだと気づいたのは、ほんのここ数年のことである。情けない人間だと、思う。» 続きを読む

『蒙求』瓢箪は鳴るか鳴らぬか秋の風(漱石) 

東洋の、貧しさをかっこいいとする思想は素敵である。 徒然草の第十八段に、次のような文がある。 唐土に許由といひける人は、更に、身に随へる貯へも無くて、水をも手してささげて飲みけるを見て、なりひさごといふ物を、人の得させたりければ、或時、木の枝に懸けたりければ、風に吹かれて鳴りけるを、喧(かし)ましとて捨てつ。又、手に掬(むす)びてぞ水も飲みける。いかばかり心のうち涼しかりけむ。» 続きを読む

吉田松陰の講孟箚記

夏休みに入り、本棚の整理をしていると、『講孟箚記』が目にとまった。 よくあることだが、整理を中断し、つい中身を眺めてしまった。 『講孟箚記(こうもうさつき)』:吉田松陰著、近藤啓吾全訳注(講談社学術文庫上下巻)» 続きを読む

『論語』有言不実行と不言実行

バブルの時代は、日本にとって日本人にとってどんな意味があったのだろうか。 もちろん、一言で語れるものではない。 ただ、それまでの常識もしくは正しいとされてきたことが、大きく否定された時代であったことは、間違いないと思う。» 続きを読む

『孟子』韓国ドラマ「イサン」

日曜の夜、NHK-BSで、偶然、目に留まり、観てしまった。 実は、一番興味を引いたのは、主人公が将来、王になるために勉強をする場面であった。 『孟子』の第一巻である、「梁惠王章句」という部分を暗誦するのである。» 続きを読む

『戦国策』一方聞いて沙汰するな

ある経営者と話をした時、彼は、部下の一人を盛んに褒めちぎっていた。理由を聞くと、「泣き言を言わない。言い訳をしない。人の悪口を言わない」ということであった。その部下と話をすると、経営者自身が自信と勇気を貰えるのだという。 中国の戦国時代、江尹(こういん)という魏の出身で、後に楚に仕えた人物がいた。 ある日、楚王に対して、彼は問いかけた。「もし、他人の良い所を王様に申し上げることを好む者がいたなら、王様はどうされますか?」» 続きを読む

『論語』富貴は人の求める所

先生は言われた。 もしも、こうやったら絶対に儲かって金持ちになれるという方法があれば、そのためにどんなに人に軽蔑されたって構わない、私だってそれをやるだろう。 しかし、そんな方法が無いのであれば、自分が正しいと考え、好ましいと思っているやり方をしていきたい。» 続きを読む

『荘子』目的と手段

殷(商)を倒して天下を統一した武王の曽祖父である古公(大王)亶父(たんぽ)の有名な話である。 『史記』などにもあるが、今回は、『荘子』から紹介したい。 大王亶父が邠(ひん)という地にいた時、異民族である狄人が攻めてきた。» 続きを読む

『蒙求』義を見てなさざるは勇無きなり

私の仕事の中心は、人前で喋ることである。数人の場合もあれば、多いときは数百人が対象になる場合もある。始めて人前で話をした頃には、膝ががくがくと震えて止まらなかったことを、今でも覚えている。緊張しなければ、あがらなければ、もっとうまく出来るのにと、よく思ったものである。 しかし、ある時、師匠ともいうべき人に、こう言われた。人前で緊張しないような人間は駄目だ。 緊張するのが当たり前であって、緊張しないということは、そもそも感受性が鈍いのだ。» 続きを読む

『蒙求』勉学の秋

秋の夜長は、本に読むのに適し、勉強するのに適している。 古来、学問に励んだ人の逸話は多い。 最も有名なものは、孫康(そんこう)と車胤(しゃいん)であろう。» 続きを読む

育休切り

育児休暇を理由にした解雇が流行っているらしい。 昨日のニュースで、たまたま目にした。 20年、30年一緒に働いてきた仲間でも平気で首を切り、それを勇断と評価するのが、ここ数年の日本企業である。» 続きを読む

『荘子』泥棒の道

日本で大泥棒といえば、石川五右衛門だが、古代中国では、盜跖(とうせき)である。 ある時、子分が盜跖に尋ねた。 「泥棒にも道というものがあるのでしょうか」» 続きを読む

『世説新語』親孝行

「成功のごときは即ち天なり」という記事で、親孝行に徹しすぎたために、かえって親不孝になってしまった、晋の申生という太子の話を書いた。 敬老の日も近いということもあり、改めて、親孝行について書いてみたい。 中国は敬老の国であり、親孝行の元締めのような国であるから、孝子の話は多い。» 続きを読む