『国語』幸と福は違う

コストパフォーマンスという言葉がある。 投入した資源に対して、どれだけ成果をあげることができるのか、ということである。 10人で100の仕事をしていた場合、100が150になっても、8人で100の仕事ができるようになっても、生産性は向上したということになる。» 続きを読む

吉田松陰の講孟箚記

夏休みに入り、本棚の整理をしていると、『講孟箚記』が目にとまった。 よくあることだが、整理を中断し、つい中身を眺めてしまった。 『講孟箚記(こうもうさつき)』:吉田松陰著、近藤啓吾全訳注(講談社学術文庫上下巻)» 続きを読む

『戦国策』全員一致の恐ろしさ

『日本人とユダヤ人』(イザヤ・ベンダサン)によると、ユダヤでは全員が一致して賛成したことは、無効になるという。 出来うるだけ、皆が同じであろうとすることを求める日本人とは、随分と違うものである。 中国戦国時代の遊説家として有名な張儀と、荘子との交流で有名な恵施の逸話に、このようなものがある。» 続きを読む

『荘子』目的と手段

殷(商)を倒して天下を統一した武王の曽祖父である古公(大王)亶父(たんぽ)の有名な話である。 『史記』などにもあるが、今回は、『荘子』から紹介したい。 大王亶父が邠(ひん)という地にいた時、異民族である狄人が攻めてきた。» 続きを読む

『蒙求』寄らば大樹の陰

徳川将軍のことを「大樹」と呼んだりする。 その謂われは、後漢の馮異(ふうい)という人の故事からである。 彼は、書を読むことを好み、特に『春秋左氏伝』と『孫子』に通じていた。» 続きを読む

『孟子』韓国ドラマ「イサン」

日曜の夜、NHK-BSで、偶然、目に留まり、観てしまった。 実は、一番興味を引いたのは、主人公が将来、王になるために勉強をする場面であった。 『孟子』の第一巻である、「梁惠王章句」という部分を暗誦するのである。» 続きを読む

『荀子』闘うことの是非

過去を振り返って、最も反省することは、争うこと、喧嘩が好きだったということである。 好きだったという以上に、間違った相手とは闘うべきであり、それが正義と考えていた。 闘うこと自体が誤りだと気づいたのは、ほんのここ数年のことである。情けない人間だと、思う。» 続きを読む

『蒙求』義を見てなさざるは勇無きなり

私の仕事の中心は、人前で喋ることである。数人の場合もあれば、多いときは数百人が対象になる場合もある。始めて人前で話をした頃には、膝ががくがくと震えて止まらなかったことを、今でも覚えている。緊張しなければ、あがらなければ、もっとうまく出来るのにと、よく思ったものである。 しかし、ある時、師匠ともいうべき人に、こう言われた。人前で緊張しないような人間は駄目だ。 緊張するのが当たり前であって、緊張しないということは、そもそも感受性が鈍いのだ。» 続きを読む

『孟子』東洋の叡智

『孟子』に、「古者(いにしえ)は子を易えて之を教う」という言葉がある。 つまり、親が直接に子供を教育することは、良くないというのである。 何故なら、教えても子供がきちんと出来ないと、親もつい腹を立ててしまう。子供は子供で、お父さんは偉そうなことを言うけど、自分はやらないじゃないかと反発する。» 続きを読む

『老子』リバタリアニズム

弓に弦をはるときに、上の部分は下に抑えて、下の部分は上に挙げようとする。 理屈に合った行いであり、天の道とは、そのように理屈にあったものである。 それは例えば、雨が窪みにたまれば、溢れて低い所に流れ出すようなものである。» 続きを読む

『列子』忘坐

忘坐を逆にした「坐忘」というと、『荘子』内篇大宋師第六にある、孔子と顔囘の有名な話である。 しかし、ここで紹介するのは「忘坐」という話である。 宋の陽里にいた華子という人が、何でも忘れてしまうという病に罹った。» 続きを読む

『論語』有言不実行と不言実行

バブルの時代は、日本にとって日本人にとってどんな意味があったのだろうか。 もちろん、一言で語れるものではない。 ただ、それまでの常識もしくは正しいとされてきたことが、大きく否定された時代であったことは、間違いないと思う。» 続きを読む

『戦国策』一方聞いて沙汰するな

ある経営者と話をした時、彼は、部下の一人を盛んに褒めちぎっていた。理由を聞くと、「泣き言を言わない。言い訳をしない。人の悪口を言わない」ということであった。その部下と話をすると、経営者自身が自信と勇気を貰えるのだという。 中国の戦国時代、江尹(こういん)という魏の出身で、後に楚に仕えた人物がいた。 ある日、楚王に対して、彼は問いかけた。「もし、他人の良い所を王様に申し上げることを好む者がいたなら、王様はどうされますか?」» 続きを読む

『論語』富貴は人の求める所

先生は言われた。 もしも、こうやったら絶対に儲かって金持ちになれるという方法があれば、そのためにどんなに人に軽蔑されたって構わない、私だってそれをやるだろう。 しかし、そんな方法が無いのであれば、自分が正しいと考え、好ましいと思っているやり方をしていきたい。» 続きを読む

『荘子』泥棒の道

日本で大泥棒といえば、石川五右衛門だが、古代中国では、盜跖(とうせき)である。 ある時、子分が盜跖に尋ねた。 「泥棒にも道というものがあるのでしょうか」» 続きを読む

『蒙求』勉学の秋

秋の夜長は、本に読むのに適し、勉強するのに適している。 古来、学問に励んだ人の逸話は多い。 最も有名なものは、孫康(そんこう)と車胤(しゃいん)であろう。» 続きを読む