幸田露伴『幻談』より

前古未曾有:昔からかつてなかったほど珍しいこと。古今未曽有。

思浮めらるる:(おもいうかめらるる)

活計:(くらし)。「たつき」「かっけい」「たづき」

暇具合:(ひまぐあい)

ケイズ:カイズは訛りでケイズが本当。「系図を言えば鯛の中(うち)」。系図鯛を略してケイズ。黒鯛、チヌのこと。

人を呑み込む:呑み込むは理解する、納得するの意。

遊客も芸者の顏をみれば三絃を弾き歌を唄わせ、お酌には扇子を取って立って舞わせる、むやみに多く歌舞を提供させるのが好いと思っているような人は、まだまだ遊びを知らないのと同じく・・・・。
三絃:しゃみ
お酌:客の盃に酒をつぐこと。又未だ一人前にならぬ芸妓、即ち半玉のこと。
二才客:青二才からか?

脚榻:(きゃたつ)。脚立。

ヤタ一:(やたいち)飯や副菜を売り、居酒屋も兼ねる安直な店。

柳蔭(やなぎかげ):焼酎に味醂を入れて造った酒で、夏に冷やして飲む。本直し?

置水屋(おきみずや):茶器などを入れる箪笥様のもの。

鳥は木により、さかなはかかり、人は情(なさけ)の蔭による。
かかり:水の中にもさもさしたものがあって、そこに網を打つことも困難であり、釣鉤を入れることも困難なようなひっかりがあるから、かかりと申します。 

野暮かたぎ:

真ずみ:朝まずみ、夕まずみ。段々と昼になったり夜になったりする迫(せ)りつめた時。朝まずめ、夕まずめ?

ぶいき:無粋。無意気。無粋(ぶすい)。いきでないこと。やぼなこと。また,そのさま。ぶすい。

樗蒲一:(ちょぼいち)中国渡来の賭博(とばく)の一。転じて、博奕(ばくち)のこと。

野布袋:竹?(のぼてい)。布袋竹の一種?
布袋竹:ほていちく 。マダケの変種の一。中国原産。

ラリ:だいなし。「さっき客をラリにさせたことを含んでいるからでしょうか、・・・」

渋川流:関口流を学んだ渋川伴五郎義方が開いた、柔術を中心に、居合、剣術、槍術、棒術からなる流派。