馬に従って馬を制する(59鞍目)

天気予報では午後3時頃から雨と言うことであった。そこで、昼頃から乗り始めると、15分ほどで雨が降ってきた。

すぐに終わるのも中途半端だったので、左右の駈歩を数回やり、クールダウンして下馬した。結局、乗った時間は20分程度であった。

騎乗内容は、昨日同様に順調だった。

兎に角、まずは推進と言うことを念頭に置いたが、それと共に、馬は生き物であるということを意識した。

どういうことかと言うと、リラクゼーションからウォーミングアップに移る際、マニュアル的に常歩を2周したら速歩といった考え方を取らないということである。

馬は生き物ということは、日によって気合が入っている日もあれば、やる気がない日もある筈である。

そこで、常歩をしながら、馬の反応を見て、乗り始めに比べて元気になってきたなと思うと、速歩に移行させる。

そして、また速歩の様子を見て、気合が少し入ってきたなと思ったら駈歩に移行させるというやり方である。

機械であればどういう状況であっても指示通りに動くであろうが、乗り始めのまだ集中力も欠けて気合も入ってない状態で、やれ速歩だ駈歩だと指示されたら、馬だって嫌だろう。嫌だから指示に従わない。それを無理やり動かそうとすれば反抗も起きるだろう。

日本の古式泳法である小堀流泳法の極意に「流れに従って流れを制する」という言葉があるが、まずは馬の気持ちに合わせて速歩や駈歩をさせる、そして、馬を走らせることによって従順性と前進気勢を高めていく、つまり徐々に主導権をこちらに移していくのである。

「馬に従って馬を制する」

初心者が偉そうに言ってはいけないかもしれないが、この言葉は結構、乗馬と言うものの本質を表しているのではないだろうか。

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