故宮博物院展

冷たい雨降る土曜日、上野の東京国立博物館で開催されている「北京故宮博物院200選」を見に行った。

今回の目玉で、中国から初めて国外に出たという『清明上河図』は、2時間半待ちであった。

聴いてみると、4時間待ち程度が普通だということであり、やはり寒さと雨のせいであろう。

『清明上河図』は思いの外、小さく、高さは30センチ程度しかないのではないか。そのせいか、現物を見てもよく分からない。

拡大したパネルが展示されていたが、それを見て、ようやくその緻密さに驚くといった絵であった。

商時代の玉や青銅器など、数々の名品が展示されていたが、私が一番興味を覚えたのは、乾隆帝の書斎であった「三希堂」を原寸大に復元したものである。

復元された三希堂

三希というのは、王羲之の「快雪時晴帖」、王献之の「中秋帖」、王珣の「伯遠帖」という世にも稀な宝のことである。

乾隆帝は、この三つの宝を自らの書斎に飾ったわけであるが、何よりも驚くのは、その書斎の小ささである。

わずか8平方メートル、つまりは、ほぼ四畳半しかない。

故宮は72万5千平方メートルあるというから、「三希堂」は、宮殿全体の10万分の一の空間にしか過ぎない。

勝手な空想だが、清王朝の全盛期を出現させた乾隆帝であっても、本当に寛げたのは、この四畳半の空間だけだったのではないだろうか。 「起きて半畳、寝て一畳、天下とっても二合半」という言葉が、自然と頭の中に浮かんできた。