論語のこの教えは、最後が素晴らしい。
「行ひて餘力(よりょく)有らば、則ち以て文を學べ」
つまり、勉強すること自体が目的ではないということである。
父母に孝行をつくし、先輩諸氏を敬い、慎み深く行動して信用を積み重ね、多くの人と良い関係をもち、特に優れた人とは親しむようにする。
こういった行動こそが大事なのである。
これらのことが出来ずに、いたずらに教養を深めても、どれほどの意味があるのか、というのが、孔子の考え方である。
もちろん、勉強すること、知識を広げることを否定している訳ではない。
優先順位の問題である。
現代は、この優先順位が逆になっているということだろう。
出典 (明治書院)新釈漢文大系1『論語』 吉田賢抗著 23頁
學而第一
子曰、弟子入則孝、出則弟、謹而信、汎愛衆而親仁、行有餘力、則以學文。 子曰く、弟子(ていし)入りては則ち孝、出でては則ち弟(てい)、謹みて信、汎く衆を愛して仁に親しみ、行ひて餘力有らば、則ち以て文を學べ。