『説苑』分からなくても分かることは分かる

斉の景公が、子貢に訊いた。

「お前の師は誰か?」

子貢は答えた。

「孔子です」

「孔子という人物は賢者か」

と景公がさらに尋ねると、子貢は、

「賢者です」

と答えた。

「それでは、孔子はどれほどの賢者なのか」

と景公が子貢に言うと、子貢は、

「分かりません」

と言う。

景公は、

「孔子は賢者だと言いながら、どのくらい賢いか分からないというのは、おかしいだろう」と詰問した。

それに対して、子貢は言った。

「天が高いということは、老若、賢愚に関係なく誰もが知っています。しかし、その高さがどのくらいなのかは、誰も知りません。私が、孔子の賢者であることを知っていても、その程度は分からないということは、これと同じことです」

出典 (明徳出版社)中国古典新書 『説苑』高木友之助著 183頁 齊景公謂子貢曰、子誰師。曰、臣師仲尼。公曰、仲尼賢乎。對曰、賢。公曰、其賢何若。對曰、不知也。公曰、子知其賢而不知其奚若、可乎。對曰、今謂天高、無少長愚智、皆知高、高幾何、皆曰、不知也。是以知仲尼之賢、而不知其奚若。