『荀子』仁者は必ず人を敬する

記事の趣旨は、「馬鹿をバカにする奴は馬鹿である(韓非子)」と同じである。

韓非子は法家、荀子は儒家ということになっているが、韓非子の師は荀子とされている。

思想的に似ている部分は、多い。

人を、善い人、悪い人に二つに分けたとする。

善い人に対して敬意を示さないということは、こちらが人でなしの獣ということになる。

悪い人に対して敬意を示さないということは、虎を馬鹿にするようなものである。

つまり、どのような人に対しても敬意を示すことが大事で、そうでなければ、身に災厄が及ぶ。

まことにもっともである。

そもそも、人の善悪や賢不肖などといったことは、簡単には分からないものである。

それなのに、ついつい相手を侮り馬鹿にしてしまうことがある。

誰に対しても敬意を以て接する、それが「礼」というものだろう。

出典 (明治書院)新釈漢文大系5 『荀子 上』藤井専英著 385頁

臣道篇第十三

仁者必敬人。凡人非賢、則案不肖也。人賢而不敬、則是禽獸也。人不肖而不敬、則是狎虎也。禽獸則亂、狎虎則危、災及其身矣。

仁者は必ず人を敬す。

凡(およ)そ人賢に非ざれば、則案(すなはち)不肖なり。

人賢にして敬せざれば、則ち是禽獸(きんじう)なり。

人不肖にして敬せざれば、則ち是れ虎を狎(あなど)るなり。 禽獸なれば則ち亂れ、虎を狎れば則ち危く、災ひ其の身に及ぶ。