『孟子』韓ドラ『宮』

「チャングムの誓い」を観て以来、韓国ドラマが好きである。

つい最近、「宮 -Love in Palace-」を観た。

僕の評価としては、チャングムが5点満点なら、これは2点くらいであるが、とりあえず全てを観た。

ある場面、主人公チェギョンの結婚式の場面で、父親と母親が教訓を垂れる場面が、興味深かった。

皇太子の結婚という設定の所為もあるだろうが、いかにも儒教的だったからである。

『孟子』によると、娘が結婚する際には、母親が娘を戒めて、こう言うそうである。

「嫁いだならば、相手の家族を敬い、自らを慎み、何があっても夫の言う通りにしなさい」

多少の違いはあるが、ドラマでも、ほぼ同じことをチェギョンの父母が言うのである。

また、皇后がチェギョンに対して、「まだ、孝経も勉強し終えてないのか」と叱る場面があった。

何故、「まだ」という表現になるかと言えば、『孝経』という書物は、非常に短い書物だからである。

内容の完全な理解はともかく、短い書物すらまだ勉強し終えていないから、叱る訳である。

「仰げば尊し」という歌を知っている人は多いと思う。

この歌の二番は、

互いに睦し 日頃の恩

別るる後にも やよ忘るな

身を立て名をあげ やよ励めよ

今こそ別れめ いざさらば

であるが、この「身を立て名をあげ やよ励めよ」は、実は『孝経』からきている。

このようなことを発見するのも、僕の韓ドラの楽しみ方の一つである。

出典 (新釈漢文大系)『孟子』内野熊一郎著 202頁

滕文公章句下

女子之嫁也、母命之。往送之門、戒之曰、往之女家、必敬必戒、無違夫子。 女子の嫁するや、母之に命ず。往きて之を門に送り、之を戒めて曰く、往きて女(なんぢ)の家に之き、必ず敬い必ず戒め、夫子(夫のこと)に違ふこと無かれ、と。