『孟子』過ちて改めざる、是を過ちと謂う

アルフレッド・スローン(元GM会長)によれば、

「51パーセントの確率で正しいことをしていれば、そのうちヒーローになれる」

という。

人は間違うのである。

問題は、スローンの言うように間違う確率と、間違った後の対処である。

昨今の社会を騒がす事件を見ると、企業のトップたちがよく頭を下げている。

見るからに、本心からとは思えない。

弁解はするが、間違いを認めようとはしていない。

いくら謝っても、間違いを認めなければ改善は行われないだろう。

弁解はいいから、きちんと間違いを認めて、やるべきことをやって貰いたい。

(現代語訳)

昔の偉い人は、間違いを行えば、すぐにそれを改めた。

しかし、今の偉い人間はそうではない。間違いを認めずに、押し通そうとする。

昔の偉い人は、間違えても隠し立てをしなかったから、日食や月食のように、誰でもその間違いが分かった。ところが、きちんと過ちを改めるので、人々は尊敬した。

しかし、今の偉い人はそうではない。

間違いを押し通し、さらには屁理屈をこねて弁解するだけである。

出典 (明治書院)新釈漢文大系4『孟子』内野熊一郎著 143頁

公孫丑(こうそんちゅう)章句下

古之君子、過則改之。今之君子、過則順之。古之君子、其過也、如日月之食、民皆見之。及其更也、民皆仰之。今之君子、豈徒順之。又從而爲之辭。

古(いにしへ)の君子は、過(あやま)てば則ち之を改む。今の君子は、過(あやま)てば則ち之に順(したが)ふ。

古の君子は、其の過(あやま)つや、日月(じつげつ)の食するが如し、民(たみ)皆(みな)之を見る。其の更(あらた)むるに及んでや、民皆之を仰ぐ。

今の君子は、豈(あに)徒(ただ)之に順ふのみならんや。又、從つて之が辭を爲(な)す、と。

出典 (明治書院)新釈漢文大系1『論語』吉田賢抗著 426頁

子張第十九

子貢曰、君子之過也、如日月之食焉。過也人皆見之。更也人皆仰之。 子貢曰く、君子の過(あやまち)や、日月(じつげつ)の食の如し。過(あやまつ)や人皆之を見る。更(あらた)むるや人皆之を仰ぐ。