馬を褒めたいから叱る(166鞍目)

馬はプレッシャーとリリースで動かす。

プレッシャーとは、レインや脚で馬を不快な状態にすることであり、リリースとは不快な状態からの解放である。

馬が止まっている状態で、脚で圧迫するというプレッシャーをかけると、馬は叱られたと解釈する。

止まっている状態は駄目だと叱られたということである。

そこで、馬は前に歩いてみると、騎乗者は脚の圧迫をやめる。

脚の圧迫というプレッシャーが無くなったわけだから、馬は不快な状態から解放される。

この不快な状態からの解放が、馬にとっての報酬であり、褒められたということになる。

馬にとっては、迷惑な話である。

人間が勝手に不快にさせておいて、報酬といっても、元に戻すだけのことである。

ただ、快不快は相対的なものだから、不快からの解放は十分に報酬になりうるし、だからこそ馬は騎乗者の指示に從うのである。

このプレッシャーとリリースということを考えるにおいて、大事なことはリリースである。

何故なら、騎乗者としては、どうしてもプレッシャーの方に意識が行き勝ちだからである。

プレッシャーとは先ほど書いたように、脚とレインの使い方であり、つまりは馬を動かす技術ということになる。

乗馬の上達ということを考えると、どうしても馬を動かす技術を向上したいと、普通は考えるだろう。

こう考えると、どうしてもプレッシャーの方を重視することになる。

そして、リリースの重要性を忘れてしまう。

馬の立場からすれば、大事なことはリリースである。

馬は、リリースをしてもらうために、騎乗者の指示に從うのである。プレッシャーのために從うのではない。

馬に乗っている間、常に意識しなければならないことは、どこでリリースをしようかということだろう。

違う表現をすれば、馬を褒めるタイミングを常に探していなければならない。

反抗が出た馬、怠ける馬は、場合によっては厳しく叱らなければならない。

しかし、叱ることは目的ではない。

「褒めるために叱る。馬を褒めたいから、叱る」

というTK先生の言葉を常に忘れないようにして、今日もだいちゃんと乗馬を楽しむことができた。

(正面からのだいちゃん)

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